詠み人知らずのお気に入りの歌一覧
恣翁
足下に 打ち上げられし 残骸の 磯臭さのみ 鼻突けるかは
17
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恣翁
残りたる 松の梢を 飇々と 鳴らして風の 吹き渡るなり
23
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恣翁
歌舞伎町 伊達な若衆 何処行きゃる 肩で風切り あの娘の許へ
14
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恣翁
喉奧に くぐもる声で 鳴く鳩は 薄日の影を 震はせて行く
24
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恣翁
幼子の 駆けて数多の 羽音立て 鳩舞い上がる 碧き中天
19
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恣翁
転び泣く 児は足下へ 複た下りし 鳩に目遣らず 啜り続けつ
18
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恣翁
合格の 二度目の礼に 詣でつる 毘沙門の森 雨に烟れり
17
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恣翁
何処より 来たる薫風 庭を吹き 樹陰を好む 鳥飛び立たず
22
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恣翁
人間て すごいと思ふ あんな目に 遭っても耐へて 立ち上がるから
22
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恣翁
幼児の 足下洗ふ 細波に 笑み声洩るる 親子連れかな
18
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恣翁
神聖な 淡き光の その中に 群れて聳ゆる 針葉樹かな
22
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恣翁
差し向かひ 微醺を帯びて 頬染めし 古女房の 妙に婀娜めく
22
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恣翁
公園を 吹き渡りたる そよ風に 若葉揺らせる プラタナスの樹
25
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恣翁
疏水より 山科盆地を 眺むれど 黄砂や街を 白く隠せる
17
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恣翁
残りたる 卓布の上の 玻璃の酒 半透明な 影を震はす
23
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恣翁
幸いは 喰うだけ喰って 豚のごと 鼾を掻いて 熟寝すること?
14
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恣翁
黒髪に 躑躅の一枝 挿さませば 緋の簪の 燃え上がらまし
22
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恣翁
蜘蛛の巣の 支柱となりし 疎らなる 籬に花の 落ち尽くしたり
22
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恣翁
やはらかく 湯気を照らせる 射し込む陽 朝風呂の湯の 匂ひ満ちたり
23
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恣翁
凱風に 亡母の苦労を 偲びたり 我生前に 安んずる莫し
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