詠み人知らずのお気に入りの歌一覧
恣翁
おにぎりの米の一粒 誰か知らむ 農夫垂らしし汗の果実と
19
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恣翁
両手擦り 日射し喜ぶ冬の蝿 忽然飛びて窓に当たりつ
18
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恣翁
菜ばかりが膳に充つれど 「青物は好きよ」 と言ひし君身罷りぬ
15
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恣翁
人妻の 官能的な微笑みの背後ゆ 襲ふ妖気覚えぬ
12
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恣翁
裂け目なき厚き氷を融かさむと 火打ち敲けど 発句得られず
20
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恣翁
長々と 異形な木々の影落とす雪に 獣の跡残りけり
18
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恣翁
霜降りて ぽっかり浮かぶ片割れの月に 夜明けの角笛響く
19
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恣翁
「オホホホホ」 愛想笑ひの店員は 変態的な傀儡思はす
16
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恣翁
文書くに 初物に換へむ 見目の良き筆も禿ぶれば 触るるものかは
12
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恣翁
雲 山に連なり 故郷の方さへも知らず 旅愁に閉ざされにけり
16
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恣翁
肩を抱き 窓硝子透かし 夜を知らぬ賑はふ街を 君と見遣れり
14
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恣翁
君送れば 影見えざりて 雪の上に 馬蹄の跡ぞ空しく残る
15
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恣翁
後ろから 睡魔のトンと蹴りつがに 立てし首のガクリと落ちぬ
18
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恣翁
叡山に積む雪浮かび 山肌の晴るるに 洛中 暮寒募れり
22
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恣翁
をけら火を渡り 新年迎へむと 故郷遠くして除夜の鐘鳴る
19
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恣翁
北野さんの牛の石像 撫でたれば 些と温もるや 冷たき肌
20
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恣翁
斑雪を踏む音の乾き 稀薄なる夜の空気を切り裂き響く
24
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恣翁
神の門に詣づる列は 日暮るれど 凍て雪に猶ほ先を急きたり
14
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恣翁
鼻水を啜り上げつつ 熱々の汁粉食む子ら 笑みて見遣れり
16
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恣翁
葉を落とし 箒の如く 枝を張る欅を透かす 午後の冬の陽
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