詠み人知らずのお気に入りの歌一覧
恣翁
雲間より 洩れる光に 照らされし 至仏が山に 続く木道
29
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恣翁
牛首の 山を背にした 白樺に 微かに響く 熊除けの鈴
26
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恣翁
秋風は 池塘を渡り 波立てて 燧ケ岳の 雲のみ映す
29
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恣翁
階を 上りて丘の 社から 坐ろに望む 秋霖の晩
35
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恣翁
天高し 段丘を吹く 海風に 蒼に染まりし 芒となれり
28
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恣翁
秋の日の 歩道の上に サルビアは 花瓣散らせり 血飛沫のごと
31
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恣翁
十三の湖 襲ひし海嘯を 歎きたる 鴉が泪 蜆となりぬ
24
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恣翁
吾子たちよ 一瞬でよい 精神の 高みに生きる 歡びを知れ
34
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恣翁
薔薇色の 血合鮮やか しめ鯖の 生つぽいのを 酒肴に手酌
23
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恣翁
逆光の 工場群の シルエット 尾花越しにぞ 眩しく望む
30
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恣翁
緑なす 畔に群れ咲く 曼珠沙華 補色の彩の 目に痛きほど
22
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恣翁
外環の 通れる街に 夜の帳 降るれば灯 瞬き出せり
23
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恣翁
燃ゆる秋 ペルシャの青に 冴ゆる天 愁ひは何故に 秋心とや
24
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恣翁
曼珠沙華 群れ咲く影を 映したる 川面染まれり 真朱と萠葱に
22
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恣翁
錆鼠の レンズ象る 雲浮けり ノルマンディーの 糸杉の上に
24
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恣翁
爺に手を 引かれて濱の 落日を 眺むる孫や 何思ふらむ
29
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恣翁
昇りたる 弓のやうなる 白き月 モンサンミシェルを 細く照らせり
22
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恣翁
聖少女の 火刑の地なる 聖堂を モネは好んで 描きつといふ
24
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恣翁
海峡の 波の威力を 物語る 海に突き出る エトルタの針
18
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恣翁
風冴ゆる ボードウォークに 佇みて 海峡越えし 人を思ほゆ
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