御宿川蝉のお気に入りの歌一覧
風小僧
今日もまた量子のもつれを研究すノーベル物理学者の夜明け
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風小僧
潮風を受けつつ進む三角のヨットのマストの上の満月
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風小僧
病弱なショパンを看護するジョルジュ・サンドの朝の水の冷たさ
5
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風小僧
青年がドストエフスキー読む時の真剣な顔に朝日が当たる
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風小僧
我の名を呼ぶごと風の音がする父か母かと夜半に目覚める
5
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風小僧
氷雨ふるスコットランドで女王の葬列を待つ人こそ尊し
4
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風小僧
美しき女王の英語響きつつ七十年の長きを思う
6
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風小僧
この夏も終わりぬ吾はほほえみて半裸の父の膝の思い出
5
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風小僧
耳たぶの柔らかさを思うなりショパンとジョルジュ・サンドの恋は
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風小僧
梓弓心の中で引く時の狙いはカンナの赤に定めよ
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風小僧
如月はまだ遥かなり夏の夜の西行の背に吹き出す汗粒
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風小僧
吾ここに立ち詩歌を作るときサグラダ・ファミリア夕陽に染まる
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風小僧
両の手を帆船のごとく広げれば風なき夏にそよ風の吹く
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風小僧
飛魚の飛び交う海が洋々と夏の午睡の胸に広がる
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風小僧
偉大なる鋏を持ち挙げ美しく潮招立つ朝日に向い
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風小僧
東欧にショパンの幻想曲響き広場に残る水たまりの赤
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風小僧
炎天の墓石よ鋭角たれ、まさにユニコーンの角は天指す
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風小僧
君知るやもののふの背の逆立つを濃紺真紅の衣の下に
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詠み人知らず
射干玉の蝶舞い降りて息づけば翅に抱ける光秘かに
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詠み人知らず
ひとり居て大海原をゆくが如溢る思いを徒然に記す
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