詠み人知らずのお気に入りの歌一覧
恣翁
燃ゆる火に 誘はれ来ては 落ちて逝く 蛾の羽根を焼く 臭ひ漂ふ
21
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恣翁
真っ直ぐな 眼差し向ける 幼女の 瞳を籠める 鳶色の翳
21
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恣翁
雨上がり 偸かに風の 簾を揺らし 読みかけし書を 翻したり
19
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恣翁
辿り来し 古人の途に 逆らひて 今人遅く 峠越えゆく
21
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恣翁
窓の灯に 風鐸の影 見ゆれども 庭の木賊は 黄昏に消ゆ
21
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恣翁
所在なく 長き睫毛の その奧に 寂しき色を 浮かべる少女
14
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恣翁
涼し気な 少女の視線は ぼんやりと 剥がれかけたる 壁紙に落つ
15
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恣翁
手擦れして 輪郭すらも 模糊たりし 忘れられける 壁のレリーフ
17
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恣翁
松風の 風情を醸す 七絃の 琴の古調ぞ 弾く人のなき
22
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恣翁
浮き草に 混じりて微雨に 白き菱 眺めて日がな 訪ふ人も無し
21
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恣翁
枕辺に 擦り寄る夢魔は 残酷に 我が快楽ぞ 笑みて眺むる
14
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恣翁
射竦むる 女の侮蔑の 眼差しは 総身に水を 浴びせ掛けけり
14
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恣翁
美しき 肉体と粗野な 魂を持つ 女に如何で 恋々たるか
13
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恣翁
傾ける 月はいざよひ 露を置く 欄干の上の 空に残れり
21
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恣翁
閑居して 旧りゆく吾の 戯れ歌に 五千の拍手 ありがたきかな
24
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恣翁
長江の 碧き水面に 映ゆる陽に 現はれ来たる 一片の帆舟
9
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恣翁
木の間より 降れる光の 描きたる 虹仄見ゆる 垂水の飛沫
17
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恣翁
唇を 噛み泣く女の 睫毛濡れ 肩を震はす 仕草美し
18
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恣翁
鳥籠の 止り木移る 文鳥や 然も不思議げに 何を眺むる
17
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恣翁
新聞を 展げ腹這ふ 我に焦れ 無言の妻は 掃除機で追ふ
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