北窓さん
のうた一覧
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昨日の墓に供えた早咲きの桜気にして冬の雨ふる
平成三十年一月八日
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優しいと思つたことの無い祖母に優しくないとなじられて雨
平成三十年六月十五日
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ちぐはぐな花を選んでしまつたと雨の墓前で苦笑ひして
平成三十年五月七日
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なりたいとのぞむ大人になれもせずただ子供でもゐられなかつた
平成三十年八月六日
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悲しいも寂しいさえも言えなくて酔いに任せて文字を吐き出す
平成二十八年九月二十一日
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うつうつとスマホながめて気をそらす夜にのまれてしまわないよう
平成二十九年十二月三十一日
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この先に泣かぬ七日が増えてゆくだらうと気づく墓参の午後に
平成三十年六月七日
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もう少し強いつもりでいたけれど木下闇でうずくまるだけ
平成二十九年五月三日
10
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今もまだ正しい答え探してる 供えた花に かける言葉に
平成三十年三月八日
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降り止まぬ雨に流れて水底へ沈んでしまう土曜日の朝
令和二年四月十八日
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哀しみや憎しみばかり夢に見ます自分の弱さにへこたれて夏
平成二十一年六月十九日
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百夜にもまた雨の降る道すがら後悔ばかり浮かんでは消え
平成二十八年十一月十四日
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ひとつきが四回過ぎただけのこと「悲しい」をまだ持てあましてる
平成二十八年十二月八日
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なにもかも面倒くさいと思うのにカナシイ回路だけが勤勉
平成二十九年一月三十一日
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忘れてたあの日使ったバッグだと記憶と時間に胸を刺されて
平成二十九年二月十四日
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かぞえればたった五文字のななかげつ枯れるほど泣く若さなど無く
平成二十九年三月七日
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八回の月命日が過ぎてった涙変わらず春の雨降る
平成二十九年四月十日
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ワイシャツの白さがやけにまぶしくて泣きたくなった秋の所為です
平成二十九年九月九日
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ざんざんとふる秋雨のつれてくるかなしいつらいさみしいのこと
平成二十九年九月二十七日
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図書館の個室トイレに閉じこもり「まだ大丈夫」言い聞かす嘘
平成二十九年十一月十八日
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