恣翁のお気に入りの歌一覧
笑能子
殊更の型は作らず茶を一杯静かに捧げ頭三十度
2
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只野ハル
曇り日の黄砂に霞む二上の峰気にしつつこたつ敷き干す
2
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卯月
あまりにも春は短しさよならを告ぐる間もなく散りゆく桜
6
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ふきのとう
あきらめと苦悩の続く被災地に朱のカーネーションは慰霊の花に
13
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ふきのとう
山椒の香り高きを田楽に夫の好物作るたのしみ
5
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詠み人知らず
言葉へとかえるときには消えていく何かを感じたような沈黙
5
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さる
みつけたり小さき花芽雨にぬれ日に日に育つ紫陽花の葉も
5
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緋色
太陽はきっとこういう味だよとそう告げている少女のほっぺ
7
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ねずみ
信ずるは 言葉ではなく 君といふ人の口より 出たが故なり
3
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蕗子
久しぶりに眉を描きて会いにゆく楽しくはなき話するため
7
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染季
1と2は隣り合わせの仲なのにどうして遠い 独りとふたり
10
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山本克夫
図書館を建てたのでしょう新緑を貸し出しカードの表にのせる
6
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山本克夫
窓際にすわりたいよねほら海が見えるとこまで青い電車の
3
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聴雨
名も知らぬ花に命の脈絡を思ひてけさのまつすぐな道
18
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漫々
連休の谷間のオフィス人まばら仕事かたづく静けさの中
2
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ほたる
衣更えすれば去年のスカートの小さな染みよ ふと夏立ちぬ
10
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紫乃
幸せを掴んで離さないように皺のよってるワイシャツの裾
3
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狭霧
氷柱見し軒に今日挿す菖蒲草庵も夏のとば口にあり
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舞
酒だけが心を癒やす逃げ道と言い訳しつつ今日もまた酔う
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ふきのとう
五日ぶり顔合わせればわが膝にちょこんと座る孫の重さよ
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